粉体は「流れにくい」ことがある?

粉体は、サラサラ流れることもあれば、詰まってしまうこともあります。 これは、粉体が持つ特殊な性質が関係しています。

固体でありながら、液体のように見える粉体。

でも、液体のように「いつも滑らかに流れる」わけではありません。

たとえば、粉が細かすぎたり湿気を吸ったりすると、かたまり(ブリッジ)になって出てこなくなることがあります。

また、ホースの中で中心部しか流れず、周囲の流れが止まってしまう(ラットホール)こともあります。

粉体がスムーズに流れるには?

粉体をスムーズに流すには、いくつかのポイントがあります。

  • 粒の大きさが均一なこと(バラバラだと流れにくい)
  • 湿気が少ないこと(湿っているとくっつきやすい)
  • 空気が通りやすい空間があること

また、粉体の流れ方には大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

1. マスフロー(全体が一緒に動く)

ホッパーやタンクの中の粉体が、壁に沿って全体的に流れ出る状態。

すべての粉が使われるので、粉の古さや成分の偏りが起こりにくいです。

2. コアフロー(一部だけが動く)

中心だけが流れて、まわりはとどまってしまう状態。

出口の粉だけが先に出てしまい、混合成分が偏ることがあります。

粉体の「詰まり」はなぜ起きる?

粉体が詰まる原因には以下のようなものがあります。

  • 粒子がとても細かい(タルク、炭酸カルシウムなど)
  • 吸湿しやすい(砂糖、塩など)
  • 摩擦が強い、帯電しやすい(静電気)

また、粉体の通り道に角があると、そこに粉がたまって「デッドスペース」になり、詰まりの原因になります。

粉体の移送で使われる装置には?

粉体を安全に、そして効率よく運ぶためには、装置の設計も重要です。

  • 傾斜をつけて、自然に流れるようにする
  • 空気を吹き込んで、粉体を持ち上げるようにする
  • バイブレーターで振動を加えて、粉を動かす

こうした工夫によって、粉体を詰まらせずに移動させることができます。

まとめ

粉体は、見た目以上に扱いが難しい素材です。

「なぜ詰まるのか?」「なぜ出てこないのか?」という問題は、粉体の性質を理解することで解決できます。

製造や食品、医薬品など、粉体を使う多くの現場では、こうした性質をもとに上手に移送する工夫が取り入れられています。

粉体のことを知ることは、モノづくりを支える大切な一歩なのです。