逆止とは?注射器でイメージしてみよう

逆止弁(ぎゃくしべん)とは、「液体や気体が一方向にしか流れないようにするための部品」です。
ポンプの世界では頻繁に登場する、ごく基本的でありながらとても重要なパーツです。

でも「一方向にしか流れないって、どういうこと?」「なぜそんな部品が必要なの?」と思われる方もいるかもしれません。

そんなとき、注射器を例にするととても分かりやすくなります。

注射器を使うとき、私たちは自然と「逆止弁的な動き」をしています。

注射器のピストンを押すと、液は前方の針から外にに押し出されます。

そして、ピストンを引くと、中が負圧(真空)になって、薬液が中に吸い込まれます。

このとき、後ろに液が戻る(逆流する)ことはありません

なぜなら、私たちが手でピストンをしっかり押さえているからです。

無意識に「逆流しないように」人が頭の中で操作しているわけですね。

自動で動くポンプには「人の手」がない

ここでポイントになるのが、ポンプは人の手で操作しないということです。

たとえば工場で液体や粉体を自動で移送するようなポンプでは、
「押す・引く」という動作が機械的に繰り返されます。

人のように「今は逆流しないように手で押さえよう」と意識して動かすことはできません。
そのため、機械の中に「逆流を防ぐ部品」が必要になるのです。

逆止弁の仕組み:ダイヤフラムと注射器の共通点

ダイヤフラムポンプは、ゴム製の膜(ダイヤフラム)を空気圧で動かし、

液体や粉体を吸い込んだり吐き出したりするポンプです。

その仕組みは以下の通り。

  1. ダイヤフラムを引く → ポンプ内部が負圧(吸い込む力)になり、内容物がポンプ内に入ってくる
  2. ダイヤフラムを押す → 内容物が出口方向に押し出される

このとき、ポンプの中には「2つの逆止弁」があり、それぞれの動作に合わせて開閉します。

注射器では「人の手」が行っていた逆流防止の動きを、ポンプでは「逆止弁」が担っているのです。

状態吸入口の弁吐出口の弁
吸い込み時開く閉じる
吐き出し時閉じる開く

先程の注射器のイメージで図解すると、このようになります。

ダイヤフラムポンプGIFアニメーション

注射器でイメージすると常に一方向の流れだけが保たれる仕組みがよくわかりますね。

逆止弁がなかったらどうなる?

もしこの逆止弁が無かったら…

  • 一度吸い込んだものが元に戻ってしまう
  • ポンプが空運転してしまう
  • 粉体や液体の混入や逆流による装置のトラブル

といった問題が起きてしまいます。

特に衛生管理や混入リスクがシビアな食品・医薬・化学分野では、逆止弁の精度が重要視されます。

まとめ:小さな逆止弁が、ポンプの性能を支えている

ダイヤフラムポンプのような自動化された機械では、逆止弁の仕組みが非常に重要。

  • 液体・粉体を一方向に安定して送る
  • ポンプの吸引・吐出のリズムを正しく保つ
  • 詰まりや逆流といったトラブルを未然に防ぐ

といった役割を果たしており、見た目は小さくてもポンプの性能を大きく左右する「縁の下の力持ち」なんです。

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